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認知症の方がリモコンをよくなくす|探さない暮らしを実現する方法

認知症の方と暮らしているご家庭では、「またリモコンが見つからない…」という小さなトラブルが、意外と大きなストレスにつながることがあります。

テレビやエアコンのリモコンは毎日使うものですが、置き忘れやしまい込みが増えてくると、本人も家族も困ってしまうもの。

この記事では、認知症の方がリモコンをなくさずに済むようにするための工夫や、暮らしをサポートする便利グッズ、家族ができる対策までを詳しくご紹介します。


認知症の方がリモコンをなくしてしまう原因とは?

リモコンが見つからなくなる理由は、単なる「うっかり」では済まされません。認知症による行動には、背景や心理的な要因があります。

習慣の変化や記憶の混乱

認知症の進行により、「いつも置いている場所」を忘れてしまったり、「使ったあとの片づけ方」が分からなくなったりすることがあります。記憶の一貫性がなくなることで、本人にとっては“正しい場所に置いたつもり”でも、実際には予想外の場所に置かれていることも多いのです。

安心感から物を隠す行動(しまい込み)

認知症のある方には、重要な物を「盗られたくない」「守らなきゃ」という意識から、リモコンや財布などを自分の衣類の中、押し入れ、台所の引き出しなどに“しまい込む”ことがよく見られます。本人には理屈がある行動なので、叱っても解決にはつながりません。

視認性の低さや同化による「見えない」

リモコンの色や形がソファや家具と似ていると、視認能力が低下している認知症の方には「見えていない」こともあります。単純に“目の前にあっても気づかない”という状況も珍しくありません。


リモコンをなくさないための具体的な工夫

それでは、認知症の方が日常生活の中でリモコンをなくしにくくするためには、どんな工夫があるのでしょうか?以下に実践しやすい方法をご紹介します。

リモコンの置き場所を固定する

まず基本になるのは「定位置を決めること」。テーブルの角やテレビ台の上など、「ここに置く」と家族が一貫して声がけし、実際にその場所に戻す習慣を作ることで、本人も徐々に慣れていきます。

  • 置き場所に「リモコン置き場」のシールを貼る
  • 小さなカゴやケースを置いて、戻す習慣をつける
  • テレビ台に両面テープやマジックテープで軽く固定する

などが効果的です。

目立つ色のカバーやシールで視認性を上げる

黒やグレーのリモコンは家具と同化しやすいため、カラフルなシリコンカバーをつけたり、大きなラベルシールを貼ったりして、視覚的に“目立つ工夫”をしましょう。おすすめは黄色・赤・オレンジなど暖色系の明るい色です。

また、「テレビ」「エアコン」など用途別に名前を貼るだけでも本人にとっての理解が深まります。

ネックストラップやマグネットホルダーの活用

軽量のリモコンであれば、首から下げるストラップ型ケースに入れておくのも効果的です。また、冷蔵庫や壁に貼れるマグネット式ホルダーを用意して、定位置管理を徹底するのも有効です。

無線タグ(忘れ物防止タグ)を取り付ける

近年は「Tile(タイル)」や「MAMORIO(マモリオ)」など、スマホと連動して位置情報を探せるBluetoothタグが手頃に入手できます。これをリモコンに装着しておけば、なくなった際にスマホから音を鳴らして場所を探すことができます。

ご本人がスマホを使えなくても、家族が代わりに探知できます。


家族や介護者ができるサポート

探し物に付き合うより「起きにくくする」が先

「またリモコンがない」と探し回るのは、本人にも家族にも大きなストレスです。そのため、「探しやすくする」のではなく「なくならないようにする」工夫に重きを置くのがポイントです。

  • 毎日のルーチンを決める(食事後に元の場所へ)
  • 一日の終わりに家族がリセット(元の場所に戻す)
  • 本人が不安に思わないよう、責めずに自然に声かけする

など、日常の中で“やさしく整える”姿勢が大切です。

リモコンを2個用意しておく

どうしても紛失が頻繁な場合は、同じリモコンを2個用意し、1つは“保管用”として鍵付きの引き出しなどに入れておくと安心です。災害時や急な対応にも役立ちます。


リモコンをなくしやすい場合の代替手段も検討を

音声操作可能なスマート家電に切り替える

Amazon EchoやGoogle Nestなどのスマートスピーカーを使えば、「テレビをつけて」「チャンネルを5にして」などの音声で操作が可能になります。

本人が声で命令するだけで操作できるので、リモコンを手に取る必要がなくなります。

壁スイッチやスマートリモコンで代用

赤外線操作のスマートリモコン(Nature Remoなど)を使えば、スマホやタブレットからリモコン操作が可能になります。さらに、あらかじめ操作内容をプリセットして壁スイッチとして設置することもできます。

例えば:

  • 「テレビON」ボタン
  • 「音量UP」ボタン
  • 「冷房25℃に設定」ボタン

など、視覚的にも分かりやすいボタンパネルを作ることで、混乱を減らせます。


実際に使われている便利グッズ・アイデア例

工夫・商品名特徴
リモコン置き場ラベル視認性アップ。置き忘れを減らす簡単な工夫
カラーカバー家具と同化しない。本人にも家族にも見つけやすい
タイル型忘れ物防止タグスマホから音を鳴らしてリモコンの場所を確認できる
マジックテープで固定テーブルなどに貼り付け。定位置管理が可能
ネックストラップ型ケース持ち歩きやすく、置き忘れがほぼゼロになる
スマートスピーカー音声操作でリモコン不要の環境を整えられる

まとめ:認知症でも安心して使える“なくさない工夫”を取り入れよう

認知症によるリモコンの紛失は、日々の生活の中で頻発する「小さな困りごと」ですが、ちょっとした工夫と家族のサポートで、十分に予防・軽減することができます。

  • 定位置を決めて、視認性を高める
  • シール・カバー・ホルダーで分かりやすくする
  • 忘れ物防止タグや音声操作など、代替手段を検討する
  • 家族が“叱らずに支える”姿勢を持つ

「またリモコンがない」と毎日悩むよりも、仕組みでなくさない工夫を整えることが、認知症の方にとっても家族にとっても、安心できる暮らしへの第一歩です。